アルツハイマー病は予防することが一番大事です。ただ一部でなかなか予防の効果が出ない病態があります。それは若年性アルツハイマーという病気です。
あなたは若年性アルツハイマーをご存知ですか?
65歳以下で発症するアルツハイマー病であり、18歳から発症する可能性もあります。早期から症状が出現してくる病気であり、かなり若い頃からしっかりとした予防の意識が必要です。実際どんなものなのでしょうか?
若年性アルツハイマー病とは?
photo by Vive La Palestina
18以上65歳以下で発症するアルツハイマー病のことを「若年性アルツハイマー」といいます。 アルツハイマー病の中の8%前後が若年性といわれています。ただ通常の65歳以上に発症するアルツハイマー病の原因と全く同じ病気として認識されています。
若干だけ通常のアルツハイマーに比べると若年性アルツハイマー病にはいくつか特徴があります。
・通常のアルツハイマー病より進行が早い
・日常での物忘れよりも集中力の低下や仕事などの作業量低下で気づかれることが多い
・遺伝子による影響が大きい(家族性、ApoE4保因者)
・通常に比べると男性の方に多い
・比較的記憶の中枢である海馬の萎縮が軽いことが多い
若年性アルツハイマーの場合には上記の5つの特徴があり、65歳以上で発症するものとは経過や症状が若干違うため区別されています。ただし基本的には同じ病気であり、原因も明確に区別ができるわけではありません。あくまでも社会的、医学的な区別を目的とした位置付けと考えるべきでしょう。
若年性アルツハイマーの病状と経過
初期の段階では65歳以上で発症する通常の病気に比べると物忘れよりもやる気が低下したり、うつ症状であったり、注意力の低下などから気づかれることが多いといわれています。そして若年性の場合には比較的病識が保たれていることが多く、自分から医療機関を受診して調べてもらったりすることが比較的多いです。
症状は私たちが普段気にする「物忘れ」のような記憶障害よりも、言語機能の低下、視覚的な判断の低下、空間的な判断の低下が早期からみられます。実際画像検査や認知機能検査をすべての年代で比較しても発症年齢が低いほど言葉、視覚、空間の判断が有意に低いことが分かっています。
若年性アルツハイマー病の場合にはまた通常の病気のような「もの取られ妄想」、「嫉妬妄想」などの問題になる妄想の頻度が比較的低いといわれています。これは高齢者に比べると他の脳の機能低下があまり進んでいないことが一因と考えられています。あと経過としては通常のアルツハイマー病に比べると進行は早い人が多いのも特長です。若年性の場合で進行が早い人は、かなりの頻度で遺伝性の要素が強く入っており、その影響で進行が早いと考えられます。
若年性アルツハイマーの現状と対処法
若年性アルツハイマー病に関しては、通常のアルツハイマー病と違って発症する頻度は少ないですが、一度発症してしまうと進行が早く、社会的、家族的な問題などがいろいろ出てきます。最近ではやっと社会的にも認知されてきており、少しずつですが理解度が上がってきています。市町村での取り組み、そして家族会なども増えてきており、若年性アルツハイマーを取り巻く環境は徐々にではありますが改善しています。ただまだ就業の問題や治療の問題などまだまだ解決していく問題が山積みなのも確かなことです。
対処法としては、まず早期発見、早期治療が重要なため異変に気がついたら医療機関を早めに受診することです。また家族歴がある方は遺伝性のことを考えて、一度医療機関で相談することをお勧めします。
若年性アルツハイマーの場合遺伝の要素を含む場合が多く、一般的な予防法では効果がないことが多いです。ただ血管因子を進めないという意味では予防法を取り入れた方が進行がわずかですが遅くなる可能性はあります。
なかなか若年性アルツハイマーには効果的な治療法はありませんが、運動、食事、あとは可能性のあるサプリを試してみるのは一つの手ではないでしょうか?